松竹座はテーマパークでした~令和四年 大阪松竹座 七月大歌舞伎 昼の部~
余韻がさめないうちに、記憶が濃いうちに、感想を起こしておかないと…
この感想を読んで、数年後の自分が喜びます^ ^
まるでテーマパークでした(≧∇≦)
近松門左衛門 作
一、八重桐廓噺(やえぎりくるわばなし)
嫗山姥
荻野屋八重桐:孝太郎
白菊:壱太郎
太田十郎:虎之介
沢瀉姫:千之助
腰元お歌:亀鶴
煙草屋源七実は坂田蔵人時行:幸四郎
あらすじ
八重桐(孝太郎)は元傾城。八重桐は夫を探すために国中を歩き回っている。そんなとき、通りかかったお屋敷の中から、かつて夫と作った替え歌が聞こえてきて…気になる八重桐はお屋敷の外で「手紙の代筆をしますよ〜」という売り文句を使い、お屋敷への潜入を成功させる。そこにいたのは……まさかまさか煙草屋姿の夫(幸四郎)であった……。
そんなこんな(省略)で死んだ夫の魂が八重桐の体内に宿り……ものすごい怪力を得た八重桐はお屋敷の姫を奪いにした3枚目のヤツ(虎之介)をぶっとばす。花四天とものすごい力を得た八重桐の華やかな立ち回り。この後、八重桐は山にこもって山姥となり、金太郎を育てる……という物語。
まあ………物語はトンチキである。
孝太郎さんの女方はかわいらしいのよ…色気と愛嬌を兼ね備えたハイブリッド女方さんである。
館に入る前に、切り株みたいな椅子に腰掛けて帽子みたいなので扇ぐ姿とか髪の毛を整える姿だとかがとてもかわいらしかった。
山姥の姿がそれと対照的でかっこよさ増し増しだったなあ…
女方さんの鬼に化ける瞬間とか人間じゃないものになる瞬間の肩のあたりの使い方が好きです。
人外なんですよねえ…(褒めてる)
幸四郎さんの魂が宿ってからは男以上に男らしくて惚れてしまう。ぶっかえりで一瞬で姿の変わるその瞬間のかっこいいこと…
3階席左列から観ると、黒衣さんが後ろで糸を抜く裏側の姿が観られてお得な気分になった!
そして幸四郎さん。
場面変わり、お屋敷の中の場面になったときの幸四郎さんの煙草屋さんの横顔が美しすぎるのである。妻にバレてしまい気まずい煙草屋さんの顔を隠す仕草さえも美しすぎるのである。
そして頭の帽子を取って出てきたときにテロテロ揺れるシケ…美しすぎる…( ˘ω˘ )…♡
あのテロテロ揺れるシケって反則だよね…( ˘ω˘ )
この演目では幸四郎さんを観て、「美しいなあ…」としか思っていなかった。とにかく幸四郎さんはカッコいい。(面食い)
壱太郎さん。
壱太郎さんの白菊ーーーー!!!!!
黒いお着物の時点で大勝利なのにめちゃくちゃ強くてさらに大勝利だった。
花四天がたくさんかかってくるところの義太夫「白菊ふっと笑って〜」みたいなところのフッって笑う白菊さんがかっこよすぎて惚れてしまう。
壱太郎さんの強い女はかっこいい。
千之助さんの赤姫もめちゃくちゃかわいかった。
完全に女の子だった。
最後の立ち回りは花四天のトンボ祭りでめちゃくちゃ楽しかった!
井上ひさし 作「手鎖心中」より
小幡欣治 脚本・演出
大場正昭 演出
二、浮かれ心中(うかれしんじゅう)
中村勘九郎ちゅう乗り相勤め申し候
栄次郎:勘九郎
おすず/三浦屋帚木:七之助
太助:幸四郎
大工清六:隼人
真間屋東兵衛:松之助
佐野準之助:亀鶴
番頭吾平:扇雀
伊勢屋太右衛門:鴈治郎
あらすじ
戯作者として有名になりたい栄次郎(勘九郎)は名前をあげるためにあれやこれやしている。
今回も親に勘当を願い出て、長屋のおすずと結婚するという茶番をしている。しかし、なかなか絵草紙の評判はあがらず、吉原の花魁帚木の身請けをしたり、幕府に立てつき手鎖の刑を受けたりしている。次は手鎖をして心中をしようと企むが…
勘九郎さん。
あんなボンが周りにいたら、イラついてたまらないであろう。けど愛されちゃうのが勘九郎さんの栄次郎さんなんだなあ…
手鎖をつけてもらって喜んで帰ってくる栄次郎さんは指ハートを飛ばしていた♡
あそこはジャニーズのライブ会場のようであった…
七之助さん。
婚礼の場面の七之助さんの美しさ…
顔が見えた瞬間、舞台がパッと明るくなるような華を持っていらっしゃる。思わず「ハァッ…!」って声が出ちゃう。
そして七之助さんの花魁はさすがです。
顔がきれいなんだよなあ…そして衣装に負けない。
花魁道中の七之助さん、タスケさんにフッと笑うその表情がたまらない〜!
そして隼人さんの清六に対して「清さんッ(小声)」そりゃあ男も惚れるわけよ、納得よ。
身請けされてからは低めの声に下ろした髪の毛、しっとりとした色気が舞台全体に広がっていました。
隼人さん。
浮かれ心中の大工清六は、全体的に愉快な物語展開の中、物語をピリッと締める役割でもあり、1人だけ空気感が違うのをお上手に表現されていてさすがだった。1人だけ世界観が違った。サイコーだった!おいしいお役☺️
— naho (@naho__6v6) 2022年7月24日
蝶一郎さんの伊勢屋の若者がおいしかった!
初日からずっと思ってたけど、浮かれ心中であの愉快な登場人物ばかりで愉快な物語展開の中、一瞬で空気をガラッとかえる隼人さんの清さん。タマラネーーーーーー!!!!!!!ってなった。おいしすぎるお役だった。1人だけ空気が違うのよ…1人だけ生きてる世界が違うのよ…!
— naho (@naho__6v6) 2022年7月24日
花魁道中の場面、花魁帚木の「清サンッ」の声に惚れてしまうし、その後の清さんのアイコンタクトにも惚れてしまうので、私を深川の家に置いてくれ(浮かれ心中の話)
— naho (@naho__6v6) 2022年7月25日
私この役、大好き!!!!!!!!
隼人さんってつっころばしがお得意だし、お似合いだと思ってるんですけど、私はつっころばしよりも江戸っ子だったり、男らしいお役も似合うと思うんだ…!
浮かれ心中初見のとき、最後の怒涛の展開を観て、大工清六がいいお役すぎてチケットを追加したほど( ˘ω˘ )
清さんだけ、この浮かれ心中の世界から浮いてるんですよね……清さんだけ、どこか異世界から迷い込んできたみたいになってるんですよね…
それくらい清さん以外の登場人物が全員トンチキ野郎でトンチキなんですよね(語彙)
そのトンチキの世界を一瞬でガラッとかえ、物語を締める隼人さんの清さん、最高だった。
江戸っ子、似合うなあ…もっと観たいです、江戸っ子。
この浮かれ心中、最初から最後まで全員がトンチキ野郎なのでとにかく普通じゃ考えつかないことを栄次郎さんが考えるんです。そしてとてもおめでたい人間しか出てこない物語なので、とてもハッピーな気分になる。けど、最後に「茶番は本気には勝てないんだな。」でホロリとするという。
ちゅう乗りすればみんなハッピーですよね!
あの瞬間は劇場が某テーマパークになってました!!!
昼の部は歌舞伎の様式美を見て、リラックスしてゲラゲラ笑ってと、とてもバランスが取れた演目だったんじゃないかなーって思ったー!
松本幸四郎はかっこいい!
中村屋は魂が騒ぐ!
中村隼人は江戸っ子が似合う!
大阪松竹座、七月大歌舞伎の昼の部
とっっっっても楽しかったですーーー!
久々に「あーーーー芝居を観たなあ」って感じた!
お芝居ってやっぱり楽しいねーーーーー!
また夜の部の感想もあげます^ ^