新春浅草歌舞伎2019 初日感想 番町皿屋敷

2018年が終わり2019年が始まりました。ということで芝居初め!観劇初めには!

 

新春浅草歌舞伎2019

 

初日おめでとうございます。

これがすごかった。これまでの人生の中で観てよかった舞台ベスト3に入るんじゃないかというくらい素晴らしい舞台に出会うことができました。

 

この感想を忘れたくない!ので残しておきます。初日の舞台が終わった四時間後に書いている文章です。

 

私が特に感動したのが、夜の部の二幕目「番町皿屋敷

詳しいあらすじはこちらhttp://enmokudb.kabuki.ne.jp/repertoire/466

 

本当に素晴らしかった。

私はこの演目で青山播磨という役を演じている中村隼人さんが好きで、隼人さんの公演には足を運ぶようにしている。

隼人さんの顔がかっこいいから好き。隼人さんの芝居が好きだから好き。

でも今回は、隼人さんだから番町皿屋敷がよかったと感じるのではない。

隼人さんが演じる青山播磨がすごくよかった。"ファンだから"とか"かっこいいから"とかじゃなくて、客観的に見て、贔屓目なしに、隼人さんの青山播磨が素晴らしかった。

 

初めて「番町皿屋敷」のあらすじを見たとき、よくわからなかった。なぜ播磨がそのような行動をするのか、播磨がどんな気持ちなのかを掴むことができなかった。

「こういうのは男性の感じ方なんだろうなあ。」「時代の違いがあるから、現代の感覚とはズレているんだろうなあ。」とどうせわからないと思ってた。本を読んだだけでは播磨な心情を理解することは私にとっては難しく、全く違う世界の話だと思っていた。

 

しかし、隼人さんの青山播磨、とっっっっってもわかりやすかった。なぜ播磨がお菊を手討ちにするのか本を読んだだけでは理解ができなかったけど、隼人さんの芝居を通して「番町皿屋敷」という作品をわかりやすく観ることができた。

 

なぜ隼人さんの青山播磨がわかりやすかったかを考えてみたのですが、やはり芝居のメリハリがよかった。

 

青山邸でのお菊と播磨のやりとり。皿を割ってしまったお菊に対して粗相であるので手討ちにしないという播磨。惚れた女性を見るまなざしがとても優しかった。声が、台詞の言い回しがとても甘い。お菊を愛おしそうに見つめる隼人さんの播磨がとても印象的だった。お菊がわざと割ったと知り、なぜわざと割ったのか優しく問う。

しかし、自分を試すために家宝の皿を割ったと知ってからは別人のようだった。播磨の優しさがとても印象的だったため、終盤の播磨に説得力があった。播磨の怒り、やるせない感情、お菊への一途な思い。言葉にできない思いが隼人さんの声、台詞に乗って客席に運ばれてくる。そして空気が緊張する、隼人さんの播磨の空気に包み込まれる。劇場の空気を播磨が握っていた。劇場の空気が播磨のものになっていた。全身で舞台を観るということはこういうことなんだなと感じた。

 

 

今日感じた感覚は、この舞台が映像化されたとしても映像では感じることができない。劇場で、生で、劇場の空気を感じることができたこの「番町皿屋敷」。

役者が作る空気を肌で感じることができた。とにかく空気がすごかった。

 

こんなにこの舞台で満足しているけど、まだ初日。あの配役ではまだ、1回しか公演していないとか信じられない。

明日から1ヶ月間公演が続き、毎日舞台は進化していくんだろう。初日でさえこんなに素晴らしかったのに、回数重ねたらどのように変化していくのだろう。そこが舞台の面白いところ。

 

初日、おめでとうございました。

とにかく「番町皿屋敷」がすごいです。

ぜひチケットを。観に行かないと後悔します!!!

http://www.asakusakabuki.com/ticket_schedule.html